歴史学の位置を海域から問い直す
フィリピン南部から東部インドネシアにかけての地域の歴史を再構成する試み。これまで未開の辺境として扱われてきた地域を共通の歴史世界として捉え直そうとしている。但し、ただの通史ではない。陸と国民国家に縛られた従来の歴史を海域という視点から問い直す大胆な試みである。本書にはもう一つ大きな目的がある。地域研究をはじめとする現代に焦点を当てた学問分野の歴史離れに警鐘を鳴らし、歴史的視点を伴わない地域理解などあり得ないことを力説することだ。 18世紀の位置づけなど課題も残るが、それがきちんと明示されており、これから歴史を学ぼうという人への入門書として広く読まれるべきだろう。2004年に第20回大平正芳記念賞を受賞した。
岩波書店
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