漂海民バジャウの物語―人類学者が暮らしたフィリピン・スールー諸島



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読み返しの利く内容と文章

私は現在フィリピン在住だが、こちらに来る前に知人から薦められて読み、現在紛争地帯になっているスールー諸島の美しい情景を思い描いた。著者が現地に滞在した60年代後半という時代背景、そして母国アメリカへの複雑な思い、まだ踏みにじられる前の楽園、そして後年再度訪問した時の落胆。
この人類学者の、調査によって得た現地社会・人間についての知識が必要以上に押し付けられることなく自然に物語りに組み込まれている。そして、生と死、神について深く考えさせられる。
フィリピンに住み始めて最近また読み返してみた。すると、フィリピンのスールー紛争問題は、著者が滞在した当時からどんどん悪化して今日に至るということが分かった。特に9/11以降、イスラム勢力をテロリストと無差別に断定して攻撃することが容認される中で、何人の「アマック」の命が失われたであろうか。遅ればせながらの経済発展に浮く首都にいながら、異なる視点があることを思い起こさせてくれる貴重な一冊だ。

とにかく最高!

私はバシラン島に3度、ホロ島に1度、この2年の間に行った。その前にこの本に巡り合ってさえいれば、もっと旅を味わえたかも知れない。作者は人類学者ではあるが、そんな肩の凝った内容ではなく、叙情的なロマンに溢れた作家である。彼の描写にあのスールー諸島の夕焼けがまた目に浮かんでくる。私はこの本を手に、近い将来また出かけて行くだろう。この本を賞賛するのに私の表現力の無さを嘆くのみである。



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